これはゲームなのか?展
こんにちは、コバヤシです。
今回はコチラ、12/15まで秋葉原で開催されている「これはゲームなのか?展#2」に行ってきました。
今回で2回目となるこの展覧会は、公式ページによると
面白さや楽しさだけではないゲームの興味深さ、そしてルールの可能性・発展性に気づかされる本展。ぜひ、「これはゲームなのか?」を体験しに遊びにいらしてください。
とのことで、実際に行ってみると、バリバリ活躍されているクリエイターさん達による、ゲームとは何なのか?その可能性に目を向け、ゲームとして昇華した展示がいっぱいでめっちゃ楽しかったです!
いわゆるゲームというよりは、会話をしたり、体を使ったりしたゲームも多かったので普段ゲームに触れない方でも、楽しめると思います!
ありがたいことに、この展覧会は写真撮影が全面的に許可されていたので今回は会場で撮影してきた写真とともに、全部ではないですが気になった展示を紹介していきたいと思います。
紹介の前に、おそらくですが、この展覧会の様々な展示には、
・ルール≒制約
・UX(ユーザー・エクスペリエンス)
・現代美術/近代美術(アート)
これらのキーワードが下敷きになっているように感じました。以下の4つの記事は、これらのキーワードをさっとさらうのに役立つかと思いますので、よければ見て見てください。
GOCCO
CHOP STICKSに書いてある”使い方”はそのまま箸の使い方。
そこに何かをマネする”ごっこ遊び”というレイヤーを付け足すことで、普段やっていることは全てそのままゲームにすることができてしまう。
ただの便器に名前を書くことでただの便器をアート作品にしてしまったデュシャンのようでカッコいいです!
でもこれって楽しくもあるけど、ゾッとしちゃうとこもありますよね・・・
ごっこをゲームとして捉えると、キッザニアやどうぶつの森のようにワクワクする。ロールプレイと言い換えてしまえば、RPGなんていうのはゲーム界においてもかなり大きなジャンルになります。
しかし、逆に言えば昨今のジェンダー議論でやり玉に挙げられる”らしさ”なんかも”男/女ごっこ”と言えるし、意地悪な言い方をすれば、マナーなんてのは”普通ごっこ”だと言えちゃいます。
かつて故ぼくのりりっくのぼうよみさんは、
「人間辞職」という曲の中で
”人間を辞すことで命を全うしていきたいと思います”
と歌いましたが、実体のない普通や規範に縛られビクついて生きている僕は”人間ごっこ”をしているだけなのかもしれません。
これが範馬勇次郎のやる範馬勇次郎拳だったらカッコいいのにナァ・・・なんて思いました。
チュンバクラム
このゲームは、解説によると
時代によって変化するスポーツの”芸術点”を表現者と制作者、二つの視点から体感し、ルールができていく様を楽しむゲームとのこと。
個人的には、このゲームはTic tokのようですごく”今”っぽいなぁと感じました。
「ロール」とか「キックバックチュンバ」という枠組みが与えられた中で創意工夫をし、#ハッシュタグという格子の中で発表するというあそびは、#〇〇チャレンジと銘打たれたテンプレートの中でいかに自分のオモシロを表現するかというTic Tokの持つ一面に似ている気がします。
0から1をつくるクリエイティビティではなく、
1を5にも10にも発展させるクリエイティビティ。
ただの道路をサメの潜む大海原に変えてしまうような、想像力のワクワクを感じました。
ルールのたまご
100円のガチャポンを回すと、ゲームといえるかギリギリの粗いルールが出てくる。中身は持って帰ってもいいし捨てて行ってもいい。
スゴく面白いし挑戦的でもありますよね。
GOCCOで示されたように、僕たちはどんなことでもゲームにしてしまうことができるが、逆にどんなゲームもゲームではない何かにしてしまうことができる。
今年The Game Awardsのゲーム・オブ・ザ・イヤーを受賞した隻狼は、僕を含めた一部からは脳汁ブシャブシャの気持ちいゲームとして楽しまれていますが、一方で難しすぎてクソだという意見も見受けられます。
「受け手次第で、石ころにもダイヤの原石にもなり得る」なんて言ってみると、現代美術っぽいですよね。
まぁ、その人が水切りでもしてたんなら、軽い石ころの方がうれしくて、重いダイヤの原石の方がいらないものになるかもしれませんが。
あなたなら、どうする?
ゲームに参加するとき、人はルールの奴隷であり、呪いにかかっているともいえる。
来場者は、このコーナーに置いてあるお札を受け取ることで、そこに書かれている呪いにかかることができる。(きれい好きの呪いなら、そこに置いてあるモップで展示場の床を掃除し続けなければならない)他の人は、呪いの札のとなりに置いてある「勇気のコイン」を呪われた人に渡し、合言葉を言うことで、その人を呪いから解放し呪いを引き受けることができる。
この説明を読んだ後の僕の心境を出来る限り思い出して再現してみました。
なんてイヤなゲームなんだ・・・
呪いにかかると奇行に及ばないといけないし、なんのメリットもないのに呪いを解いてくれる良い人が現れなかったら悲しすぎる!
もしかして、会場に入ってすぐにいたずっとなんかブツブツ言ってた人、呪いにかかってたのかな・・・
(実際に独り言の呪いというのがあった)
もしかして、満員電車で僕の足を踏みつけてガン飛ばしてきたあのオッサンも・・・!?
あっ!なんかずっとモップ持ってる人がいる・・・声かけてみよう。合言葉は確か・・・
「ア、スミマセン、エト、ビ、ビューティフル!」
「ア、ドモ、じゃあこれ、お願いします。」
とりあえずモップを受け取り、床掃除を始めること数分。全然声をかけてもらえず、予想以上の寂しさで人混みをチラチラ見てると、
「こんにちは、ビューティフル!」
「あ、ありがとうございます。じゃあこれ、お願いします。」
友達同士で来ていたであろう数人組のうちの一人が声をかけてくれた。
人の善意ってあったかいな・・・
これからは、駅とかで奇行に及んでる人を見かけても優しくしてあげよう
いや、やっぱ怖いわ。でも、こういった分断がJOKERを生んでしまうんだよな・・・
こんな感じでした。気持ち悪いですね
記憶交換の儀式
名前だけだと、『嘘喰い』のラビリンス編みたいだけど、あんな恐ろしいものではない。
これは、5人集まってとあるお題に関するエピソードを思い出す
↓
そのキーワードを5つ紙に書き、ランダムに配布する
↓
キーワードからエピソードを逆算し、”ない話”をでっちああげ、自分のものとして語る
というゲーム。人間の記憶なんて、簡単に歪んでしまうというおもしろさがありました。
いたよね、仲間内で流行ったネタとかワードを、後から俺が考えたっていけしゃあしゃあと言ってのけるヤツ!ホントハオレガカンガエタノニ・・・
ちなみに僕が参加した回のお題は「修学旅行」で自分の提出したキーワードはこちら!
修学旅行で僕の身に何が起こったのでしょうか?この紙が回ってきた人はマジで悩んでたので申し訳なかったです。
ラストは一年生ゲーム
おそらく、このゲームに関しては、僕がゴチャゴチャ書くより、制作者であるニルギリさんのnoteを読んでいただいた方が早いでしょう。
今回、僕がもし、この展覧会がまた行われるならぜひ参加したいと感じた理由がこのnoteでした。
NO.17さんには、謹んでご冥福をお祈り申し上げたいと思います。
そして、NO.17さんのお兄様には、お悔やみを申し上げると同時に、大変な勇気をもって弟さんのことを公開してくださったことに、不謹慎であるかもしれませんがお礼を申し上げたいと思います。
僕は以前落合陽一さんの企画した耳で聴かない音楽会に参加しました。
この時にも感じたことなのですが、善という価値観は時代によって変わるけど、耳が聴こえない方が音楽を楽しむことができるということや、死を意識した方がゲームによって希望を持てるような試みって、どうあっても善なることで、本当に尊いことだと思うんです。色覚障害のある方が、補正をかけたメガネを掛けて初めて多くの色を認識する動画とか、最高ですよね!(そう言ったダイバーシティ性の高い方々をエンタメ的に消費することは良くないことではありますが)
今回、そんな価値のある試みに触れることができた立場として、この一年間を有意義に過ごせるよう頑張って行きたいです。
長くなりましたが、紹介はこれで以上です。
最近、アナログゲームシーンが盛り上がりを見せる中で、日本においても様々なゲームが制作されていっています。
そして、僕もアナログゲームを好む人間として触れていく中で、中にはちょっとナンセンスだな・・・と思うような題材や内容のゲームも時折見受けられます。
だからこそ、クリエイターという立場から、もう一度シーンに様々なことを問うことが必要だったのかと思います。
おそらく、それが一番顕著に出ていたのがギャラリー・トークだったのだと思います。
五日間のテーマの中に、美学や芸術と並んで、”編集”や”UX”が並んでいる。しかもUXのゲストは、あのnoteの深津さん!
ビジネスでは、今ユーザーにどういった体験を提供するか?と言ったテーマは盛んに議論されているかと思いますが、アナログゲームも単なる消費されるエンタメを超えて、次のステップへと踏み出そうとしているのではないでしょうか。
あるいは、仮にもエンタメ大国である日本では、そうしないとこの先生きのこれないと感じられているのかもしれません。
長くなってしまいましたが、この記事はこれで以上です。
この楽しい楽しい展覧会は、明日12/15(日)が最終日ですので、興味のある方は是非言って見てください!
それでは、また次の記事でお会いしましょう!!
(かいたヒト:コバヤシ)